コラム(五月人形)
2019.12.05
五月人形の歴史とは
五月人形はどのようにしてはじまり、どのような意味が込められているのでしょうか。
歴史を学ぶとともに、お父さんの時代の五月人形と現在の姿を考えてみましょう。
五月人形のはじまりと「端午の節句」
五月人形は、「端午の節句」に飾りますね。
「端午」とは、旧暦5月の最初の午(うま)の日を指します。
「端午の節句」は、むかしの中国の季節行事「五節句(七草の節句、桃花の節句、端午の節句、竹の節句、菊の節句)」の1つでした。
「節句(節供)」は、季節の変わり目という意味と、それをともにするという意味があります。
古代の人は、このような季節の変わり目には、邪気が寄りやすいと考えていました。
それで、節ごとの飾りとお供えものをして厄払いをし、家族の無病息災を願う風習が生まれたのです。
日本では奈良時代からこのような風習が庶民に広がっていきました。
暦は旧暦ですので、端午の節句が行われた昔の5月は、今の6月ごろとなります。6月は梅雨の時期ですね。
食べ物が湿気で傷みやすかったり、体調を崩しやすい時期でもありますから、
この時期に厄払いを行うことには意味があったのです。
この厄払いに重要な意味を持ったのが、季節の植物である「菖蒲(しょうぶ)」でした。
香の強い菖蒲は、邪気や魔を除ける力があると考えられていたのです。
さて、鎌倉時代以降、武家ではこの端午の時期に、鎧や兜を家の中に飾る習慣がありました。
梅雨前に武具へ風を通し、虫干しと手入れをするためです。
また、武士は我が武勇を尊び、尚武(しょうぶ)=力強くある様と、端午の節句で使われる「菖蒲」をかけて、
端午の節句を、武士にとって縁起の良い、尚武の日として祝うようになりました。
江戸時代になると5月5日は徳川幕府の式日として公的に定められ、大名などが江戸城で将軍をお祝いするようになります。
今でいう、国民の祝日みたいな感じですね。
将軍に男児が生まれた際は、馬印や幟(のぼり)を上げて、皆でお祝いをしました。
民間でも、長い幟に絵師たちがこぞって縁起の良い図柄をあしらって屋外に立てました。
これは、今で言う鯉のぼりのようなイメージです。
端午の節句に、このような兜や幟が飾られるのは、こうした武家の風習に由来します。
武将にとって鎧や兜は、身を護る大事な装備であり、神様が宿る神聖なものでもあったのです。
そうした鎧兜を飾ることで、神様が幼子を災厄から守ってくれると考えていたのですね。
五月人形の鎧や兜には、「厄払いとともに、我が子を守って明るい将来を願う」という意味が込められているのです。
このように、五月人形は歴史的にも、人々の中にも根付いた文化と言えます。
「端午」とは、旧暦5月の最初の午(うま)の日を指します。
「端午の節句」は、むかしの中国の季節行事「五節句(七草の節句、桃花の節句、端午の節句、竹の節句、菊の節句)」の1つでした。
「節句(節供)」は、季節の変わり目という意味と、それをともにするという意味があります。
古代の人は、このような季節の変わり目には、邪気が寄りやすいと考えていました。
それで、節ごとの飾りとお供えものをして厄払いをし、家族の無病息災を願う風習が生まれたのです。
日本では奈良時代からこのような風習が庶民に広がっていきました。
暦は旧暦ですので、端午の節句が行われた昔の5月は、今の6月ごろとなります。6月は梅雨の時期ですね。
食べ物が湿気で傷みやすかったり、体調を崩しやすい時期でもありますから、
この時期に厄払いを行うことには意味があったのです。
この厄払いに重要な意味を持ったのが、季節の植物である「菖蒲(しょうぶ)」でした。
香の強い菖蒲は、邪気や魔を除ける力があると考えられていたのです。
さて、鎌倉時代以降、武家ではこの端午の時期に、鎧や兜を家の中に飾る習慣がありました。
梅雨前に武具へ風を通し、虫干しと手入れをするためです。
また、武士は我が武勇を尊び、尚武(しょうぶ)=力強くある様と、端午の節句で使われる「菖蒲」をかけて、
端午の節句を、武士にとって縁起の良い、尚武の日として祝うようになりました。
江戸時代になると5月5日は徳川幕府の式日として公的に定められ、大名などが江戸城で将軍をお祝いするようになります。
今でいう、国民の祝日みたいな感じですね。
将軍に男児が生まれた際は、馬印や幟(のぼり)を上げて、皆でお祝いをしました。
民間でも、長い幟に絵師たちがこぞって縁起の良い図柄をあしらって屋外に立てました。
これは、今で言う鯉のぼりのようなイメージです。
端午の節句に、このような兜や幟が飾られるのは、こうした武家の風習に由来します。
武将にとって鎧や兜は、身を護る大事な装備であり、神様が宿る神聖なものでもあったのです。
そうした鎧兜を飾ることで、神様が幼子を災厄から守ってくれると考えていたのですね。
五月人形の鎧や兜には、「厄払いとともに、我が子を守って明るい将来を願う」という意味が込められているのです。
このように、五月人形は歴史的にも、人々の中にも根付いた文化と言えます。
五月人形の種類とは?
端午の節句に飾るお人形を「五月人形」と言います。
鎧飾り(甲冑)や、胴体のない兜飾り、
男の子のお人形に鎧を着せ付けた子供大将飾り、
おとぎ話の主人公、金太郎人形に桃太郎人形、
鍾馗人形や、神武天皇など、さまざまな種類がございます。
いずれも、厄払いと、男の子の健康と健やかな成長を願うものとして飾られます。
鎧飾り(甲冑)や、胴体のない兜飾り、
男の子のお人形に鎧を着せ付けた子供大将飾り、
おとぎ話の主人公、金太郎人形に桃太郎人形、
鍾馗人形や、神武天皇など、さまざまな種類がございます。
いずれも、厄払いと、男の子の健康と健やかな成長を願うものとして飾られます。
お父さんの時代の五月人形
お父さんの子供の頃のアルバムを見ると、五月人形の前で撮った写真を見つけることがあるでしょう。
今よりも熱心に飾り、お祝いしているような印象を受けます。
それは、昔の日本で赤ちゃんの死亡率が非常に高かったことが関係しているかもしれません。
生まれて程ない乳幼児は心身が未発達で、体調も不安定。感染症にもかかりやすいですね。
医療や衛生環境が今ほど発達していなかったかつての日本では、いつ何時、生まれる前の「世」に連れ戻されるか知りません。
ぐっすり寝入ってる幼児が、そのまま死んでしまうのではないか…と、
ふとした時に不安に襲われる親御さんは、今より多かったことでしょう。
万一、我が子が病気にでもなれば、心配でたまらず、食事も喉を通らず、胸がつぶれるような思いをします。
その時代の人達は、五月人形を身代わりに、厄の一番降りかかる時期をお祝いをすることで、
身代わりに厄除けをした、だから大事にしたのです。
今よりも熱心に飾り、お祝いしているような印象を受けます。
それは、昔の日本で赤ちゃんの死亡率が非常に高かったことが関係しているかもしれません。
生まれて程ない乳幼児は心身が未発達で、体調も不安定。感染症にもかかりやすいですね。
医療や衛生環境が今ほど発達していなかったかつての日本では、いつ何時、生まれる前の「世」に連れ戻されるか知りません。
ぐっすり寝入ってる幼児が、そのまま死んでしまうのではないか…と、
ふとした時に不安に襲われる親御さんは、今より多かったことでしょう。
万一、我が子が病気にでもなれば、心配でたまらず、食事も喉を通らず、胸がつぶれるような思いをします。
その時代の人達は、五月人形を身代わりに、厄の一番降りかかる時期をお祝いをすることで、
身代わりに厄除けをした、だから大事にしたのです。
五月人形を飾る意味とは
医療が発達し、衛生状態がよくなった現代では、赤ちゃんのほとんどは健康に育って大人になります。
では、そんな現代においては、身代わりも厄除けも不要でしょうか。
五月人形は、何のために飾るのでしょう?
私達は、親や祖父母世代の頑張りなどにより、以前より豊かな日本を経験してきました。
予防医療が発達して、徐々に乳幼児死亡率が下がると、死を身近に感じることが減ってきます。
その結果、元気で生きられるように、という願いから、
「子供が幸せに生きられるように」というふうに、願いが変わってきました。
我が子にこうなってほしい、こういうことにチャレンジして、こういう大人になってほしい…
子どもの可能性を広げようと奮闘する期間は、苦労はあれど、親として最高に楽しい時間であると思います。
子供の無事を願い、健やかな成長を祈るというのは、親であれば皆さん持っている御心です。
その御心を五月人形という形に代えることで、家族の時間を豊かにし、
お子様の人生を励ましてくれるものとなることでしょう。
そのために飾るのではと思います。
では、そんな現代においては、身代わりも厄除けも不要でしょうか。
五月人形は、何のために飾るのでしょう?
私達は、親や祖父母世代の頑張りなどにより、以前より豊かな日本を経験してきました。
予防医療が発達して、徐々に乳幼児死亡率が下がると、死を身近に感じることが減ってきます。
その結果、元気で生きられるように、という願いから、
「子供が幸せに生きられるように」というふうに、願いが変わってきました。
我が子にこうなってほしい、こういうことにチャレンジして、こういう大人になってほしい…
子どもの可能性を広げようと奮闘する期間は、苦労はあれど、親として最高に楽しい時間であると思います。
子供の無事を願い、健やかな成長を祈るというのは、親であれば皆さん持っている御心です。
その御心を五月人形という形に代えることで、家族の時間を豊かにし、
お子様の人生を励ましてくれるものとなることでしょう。
そのために飾るのではと思います。
編集部の一言
五月人形は、機械化・文明化の進んだ現代においても、お子様の将来を願い、一つ一つ丁寧に手仕事で作られています。
機械で作るわけではありません。したがって厳密には2つとして同じものは存在しません。
お子様の将来や環境などは、我々の経済活動による選択で、今後の世界は変わってきます。
確かな五月人形を飾ることで、お子様の将来を祈りつつ、家族愛をもち、先祖とのつながりが感じられます。
端午の節句のハレの日には、最高の笑顔でお祝いしたいものですね。
機械で作るわけではありません。したがって厳密には2つとして同じものは存在しません。
お子様の将来や環境などは、我々の経済活動による選択で、今後の世界は変わってきます。
確かな五月人形を飾ることで、お子様の将来を祈りつつ、家族愛をもち、先祖とのつながりが感じられます。
端午の節句のハレの日には、最高の笑顔でお祝いしたいものですね。