雛人形は誰が買うのか? | ひなラボ

コラム(雛人形)

2019.11.22

雛人形は誰が買うのか?

ひな祭りは、雛人形(ひな人形)を準備して、女の子の健やかな成長を願うお祝いの日です。
別名を上巳(じょうし/じょうみ)の節句ともいい、特に女の子が生まれてから最初に迎える三月三日を「初節句」と呼んで、特別にお祝いをします。
そんな大切な初節句にかかせないのが、お内裏様とお雛様の揃った雛人形ですね。
でも、雛人形はいったい誰が用意すればいいのでしょうか?
赤ちゃんのお父さんやお母さん?それとも、お祖父さんやお祖母さんでしょうか。

嫁入り道具の一つと聞くけど?

日本では昔から、結納をするときに男性が女性に「嫁入りの際の支度金」を女性に贈り、そのお金で女性が家具や調度品などの嫁入り道具を揃える、という風習がありました。
雛人形はそんな嫁入り道具の一つとして、女性側が用意して、持参するものだったのです。
戦国時代、大名に嫁ぐ姫君などの上流階級の御輿入れでは、持参する本物の箪笥や鏡台などの嫁入り道具を、そのままミニチュアにして雛道具にした、と言われています。

そのような歴史から、雛人形は、母方の実家(祖父母)から贈られるのが一般的でした。

雛人形だけではなく、五月人形や鯉のぼり、お宮参りの産着も同様に、母方の実家が準備することが多かったようです。
母方の実家がこのように赤ちゃんへのお祝い品を準備するのは、一説には、お嫁入りしてなかなか会えない娘や孫に会いに行くための口実となるから…ともいわれています。
一方、父方の実家では、雛人形をお迎えする役目をもつ市松人形や、初正月(赤ちゃんが生まれて初めて迎えるお正月)に羽子板を贈ることが多かったようです。
ところが、少数ながら地域によっては父方の祖父母から贈られるという場合もあり、住んでいる地域や風習によっても異なるものでした。

現在は、多様化している?

現在では、家族の形態も多様化し、お祖父さんお祖母さんとは別に暮らしている核家族化が進んだため、なおさら、どちらの家から贈るかということには、あまりこだわりがなくなってきています。
母方が用意する家、父方が用意する家もあれば、両家の祖父母が費用を出し合って、折半で購入する場合、費用を出してもらった上で、赤ちゃんのお父さん、お母さんが雛人形を選ばれる場合、
祖父母にたよらず、お父さん、お母さんのみで購入する場合など、さまざまなケースがあり、どれが正解というものではありません。

ただし、祖父母が購入して贈る場合には、事前に赤ちゃんのお父さんお母さん、また両家でよく話し合っておくことが大切です。
先走って片方の家が購入すると、実はもう片方でも準備していた…というすれ違いがあったり、
現代の住環境を考慮せずに大きいサイズのものを贈ってしまって、赤ちゃんのお父さんとお母さんが困ってしまう…というのもよく聞く話です。

編集部の一言

雛人形は、女の子の災厄を代わりに背負ってくれる身代わり人形であり、健やかな成長を願って贈られるものです。
雛人形を贈りたいという気持ち、一緒にお祝いする気持ち、赤ちゃんの幸せを願う大人が身近に存在することが、赤ちゃんにとっての一番の贈り物ですね。
贈る側も、もらう側にとっても、「誰が贈るか」という形式にとらわれず、楽しいひな祭りをお迎えください。


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