雛人形の一般的な飾り方 | ひなラボ

コラム(雛人形)

2019.12.17

雛人形の一般的な飾り方

念願の雛人形を購入し、いざ飾ろう!と箱から取り出してみると、大小様々なサイズの箱がたくさん出てきて、
それぞれにお人形や、細々としたお道具が入っており、どう飾ろうか途方に暮れてしまった…なんて方もいるかもしれません。
いったい何をどこへ、どのように飾ればよいのでしょう?
ひな祭りを迎える前に、基本の飾り方をおさらいしておきましょう。
飾り方は、商品によってもかなり違いがありますが、ここでは一般的な七段飾りのお人形と、お道具の並べ方をご説明します。

一番上の段に飾るお人形とお道具

最上段には、男雛(殿)・女雛(姫)の親王二人を飾ります。
一般的には向かって左に殿、右に姫を飾りますが、これは関東(江戸)風の飾り方。
京雛・京人形など関西(京)風の一部のお雛様は、殿と姫の左右が逆になり、向かって左に姫、右に殿を飾ります。
関西風の飾り方は、日本古来の「左上座」に基づいたもので、以前は雛人形はすべてこれにならった飾り方をしていました。
ところが近年になって欧米の「右が上位」という習慣が国際儀礼として伝えられたために、これがお雛様にも反映されて、
関東(江戸)風の飾り方として全国にも広まっていきました。

しかし現代でも、京都を中心とした関西地方では、伝統を重んじた「左上座」の配置を守り続けています。
したがって、殿姫の並びは向かって左に殿を置くのが関東風、右に殿を置くのが関西風ということになります。

お道具は、殿姫の背後に屏風を、両脇にぼんぼりを飾ります。
昔の結婚式は夜間行われていましたから、明かりの灯るぼんぼりを飾るのはその名残です。
二人の間には、瓶子(へいし)と呼ばれる花瓶に、口花を挿した台…「三方(さんぼう)飾り」を置きます。

二段目・三段目・四段目に飾るお人形とお道具

二段目は三人官女を飾ります。
座っている官女を真ん中に、両側に立っている官女を飾ります。
持ち物は、向かって左の官女が 提子(ひさげ)、中央の官女は 三方(さんぼう)、右の官女が 長柄銚子(ながえのちょうし)を持っています。
いずれもお酒を注ぐ給仕のための道具です。
関西(京)風では、中央の官女が 島台(しまだい)を持ちます。島台は、婚礼時に使用する盃や造花を置く飾り台です。
官女と官女の間には、丸餅を乗せた台を置くのが一般的です。

三段目には、五人囃子(ごにんばやし)を飾ります。
五人囃子はそれぞれに能楽で使われる楽器を持っており、婚礼のお祝いの音楽を演奏しています。
楽器は向かって左から、太鼓(たいこ)、大皮鼓(おおかわつづみ)、小鼓(こつづみ)、笛、と続き、
扇を持った謡(うたい)手が右端です。鳴り物の大きな音の順に並んでいます。
五人囃子の代わりに、雅楽の楽器をもった五楽人(ごがくじん)が飾られることもあります。

四段目には、随身(ずいしん)を飾ります。向かって左に若者(右大臣)、右に年配者(左大臣)を飾ります。
古来の左上位にならって、殿姫側から見て左側(上位)が、年配者の左大臣となります。
随身の間には、菱餅やお膳が置かれることが多いようです。

五段目・六段目・七段目に飾るお人形とお道具

五段目には、仕丁(しちょう)(別名・衛士(えじ))という外出時の従者たちが置かれます。
それぞれ、笑い、泣き、怒りの表情があり、三人上戸とも呼ばれます。
持ち物は、向かって左から 台笠(だいがさ)、沓台(くつだい)、立傘(たてがさ)と、お殿様の外出に必要な道具を持っています。
関西(京)風では持ち物が変わり、箒(ほうき)、ちりとり、熊手というお掃除道具になります。

仕丁の両端には、向かって左側に橘(たちばな)、右に桜の花飾りが置かれます。
桜橘の左右の並び順は、平安京の紫宸殿に飾られた「右近の橘 左近の桜」にならっており、右近左近の左右は殿姫側から見たときの表現です。
仕丁の間にお膳が置かれる飾り方もあり、その場合は桜橘は七段目に置かれることが多いようです。

六段目には、嫁入道具が並びます。
向かって左から、箪笥(たんす)、長持(ながもち)の上に挟箱(はさみばこ)、鏡台、針箱、表刺袋(うわざしぶくろ)、火鉢、茶道具などが基本ですが、
商品によってバリエーションがあり、内容が異なる場合もあります。

最下段の七段目には、御輿入(おこしいれ)道具を置きます。
向かって左から、御駕籠(おかご)、重箱、御所車(ごしょぐるま)の順番です。
左右の端に、桜橘の花飾りが置かれる場合もあります。

きれいに飾るコツとは?

細々としたお人形やお道具類をきれいに飾るには、まず中心を決めて、バランスよく飾ることです。
各人形の目線を少しずつ中央に向けるよう意識すると、お人形が生きてきます。
また、お人形を触るときは手袋などをして、段の上の方から飾りつけましょう。
上の方から飾ると、途中で誤って落としても、下のお人形を傷つけることがありません。

いちばん初めに箱から出す際、何の箱がどこに収まっているか、収納してある状態を写真におさめておくと、
あとで片付ける際に便利なので、おすすめです。

編集部の一言

お雛様はお人形やお道具がたくさんありますので、飾り付けに時間がかかってしまうこともありますが、
1つずつ手にとって、楽しみながら飾るのも醍醐味のひとつです。
お子様が大きくなれば、一緒に飾り付けをするのも、幸せなお節句の思い出となることでしょう。
楽しく飾って、晴れやかなひな祭りをお祝いしましょう。

コラムを探す