雛人形の種類 | ひなラボ

コラム(雛人形)

2019.12.24

雛人形の種類

雛人形の種類は、作り方の違いから「衣裳着(いしょうぎ)人形」と「木目込み(きめこみ)人形」との二種類に分かれています。
衣裳着人形はお店で最もよく見かける、一般的になじみ深い雛人形で、現在、お店で販売されている雛人形の7割近くは衣装着人形と言われています。
では、木目込み人形とはいったいどんなお人形でしょうか。衣裳着人形と木目込み人形のそれぞれの違いは、どのようなところにあるのでしょう。

木目込み人形

木目込み人形は、江戸時代中期の京都 上賀茂神社が発祥といわれています。
神社の神官が柳の木の破片でお人形の原型を作り、そこへ神官の衣裳の切れ端を張り付けてお人形作りをしたのが、木目込み人形のはじまりです。

「木目込み」というのは、木や桐塑(とうそ)などでできた胴体に、衣裳のシワや境目、模様などを表現する溝を彫り込んで、その溝に布地の端を埋め込む(木目込む)というところからきています。
まるで本当に着物を着ているかのような衣服の自然な重なりやシワ、シルエットを表現するためには、独特の製法と高い職人技術が必要です。

そんな木目込み人形は、衣裳を着せるのではなく貼り付けて埋め込んでいくという製法上、コンパクトなサイズが多いのが特徴。
手のひらサイズのお人形なので、段飾りでもサイズを抑えて省スペースで飾ることができ、収納場所にも困りません。
フルセットの十五人やお道具を載せても三段飾りで収まりますから、現代の住環境にもピッタリ。

また、お顔は筆で手描きされた「書き目」のお顔立ちが多いため、従来の雛人形のお顔立ちが苦手という方でも、親しみやすいようです。

衣装着人形

衣裳着雛人形は、幾重にも重ねられた絢爛豪華な衣裳をまとっていることが特徴です。
昔は、そのお家で一番良い着物の生地で、雛人形の衣装を仕立てたとも言われ、華やかな十二単は雛人形の見どころの一つですね。

衣裳着人形の作り方は、まずお人形の胴体と衣装とをそれぞれ別に製作し、衣装を人形胴体に重ねて着せ付け、製作します。
手足、頭(かしら)も、胴体とは別に製作し、最後に取り付けます。
またお顔は、目の部分にガラスを入れる「入れ目」仕立てとなっています。

現代のような衣裳着人形の形式が完成されたのは、木目込み人形の発祥と同じく、江戸時代中期のこと。
原舟月という人形師が、それまで京都で作られていた雛人形を発展させ「古今雛(こきんびな)」と呼ばれる形式を完成させました。
それまで筆で描かれていた目に、初めて水晶やガラス玉を入れて、衣装に金糸や色糸で刺繍をほどこしたもので、現代の衣裳着人形の原型と言われています。
その写実的な表情と精巧な作りから、江戸で大変人気を博し、雛人形の本流となっていきました。

着物の重ねの美しさとボリューム感を表現できるのは、衣裳着人形ならではです。

編集部の一言

豪華絢爛な衣裳が堪能できる、衣裳着人形と、素朴な温かみある風合いが味わい深い木目込み人形。
どちらも捨てがたい魅力がありますね!

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